2020年、幕末ファン、司馬遼太郎ファンにとってこの上ない作品が上映される。

その作品とは、歴史的人物である土方歳三の生き様を描いた、司馬遼太郎の代表格ともいえる「燃えよ剣」。

2020年公開予定の「燃えよ剣」の主人公である 土方歳三(1835-1869)は、剣に生き、剣とともに散った新選組の副長。

今もなお人々を魅了してやまない土方のぶれない精神は幕末の美学といえよう。

今回は、上映予定の「燃えよ剣」に加え、多くのファンを持つ土方歳三と司馬遼太郎にスポットをあて紹介していきます。

土方歳三とは

土方家は「お大尽(だいじん)」と呼ばれる多摩の豪農で、歳三は10人兄弟の末っ子として誕生。

父は歳三の生まれる3か月前の2月5日に結核で亡くなり、母も歳三が6歳のときの天保11年(1840年)に結核で亡くなっている。また、長兄の為次郎は眼疾があり、次兄の喜六が家督を継ぎ、その妻・なかによって養育された。

その後、歳三は実家秘伝の「石田散薬」を行商しながら、各地の剣術道場で試合を重ね、修行を積んだ。

そして、歳三はその道場に指導に来ていた近藤と出会い、のちに、局長 近藤勇とともに新選組を結成し、京の都にその名を轟かせた。

近藤亡き後も土方歳三は戦いを続け各地を点線、しかし、享年35歳、箱館戦争で戦死。

土方歳三年表

1835年 天保6年 誕生
1851年 嘉永4年 17歳 近藤勇と出会う
1859年 安政6年 25歳 天然理心流に入門する
1863年 文久3年 29歳 試衛館のメンバーと共に浪士組に参加・上洛
浪士組を決別し壬生浪士組を結成
松平容保より「新選組」を拝命する
壬生浪士組内で対立していた芹沢鴨を暗殺する
1864年 元治元年 30歳 池田屋事件
1868年 明治元年 34歳 鳥羽伏見の戦いに敗れる→江戸へ撤退
甲府勝沼の戦いで惨敗
1869年 明治2年 35歳 箱館戦争にて戦死

どんな人物?

  • 生地は多摩(現在の東京都日野市)
  • 農家の10人兄弟の末っ子として生まれる
  • 新撰組副長(鬼の副長として恐れられる)
  • 試衛館に来るまでは「石田散薬」を行商しつつ道場破りを続けていた
  • 愛刀は「和泉守兼定」
  • かなりのイケメンとして知られる
  • 辞世の句は「鉾とりて 月見るごとにおもうかな あすはかばねの上に照るかと」

<まめ知識>
会津藩主・松平容保から下賜されたと伝えられる、土方歳三の愛刀「和泉守兼定(いずみのかみ かねさだ)」は、会津藩のお抱え刀工だった名刀匠である会津和泉守兼定によるものとされています。

ちなにみ、毎年、土方歳三の命日が近づくと土方歳三資料館にて愛刀である「和泉守兼定」が特別公開される。(*基本的に年に一度の期間限定展示)

最後まで歳三と運命を共にした兼定刀身には、物打ち部分に当時刃こぼれが見られ、当時の様相をうかがい知る事ができます。

◾️土方歳三資料館:https://www.hijikata-toshizo.jp/

<土方歳三に関する出版物>


燃えよ剣


子孫が語る土方歳三


土方歳三最後の戦い 北海道199日


土方歳三(増補新版)

燃えよ剣のあらすじ

「燃えよ剣」は、組織作りの異才をもって幕末最強の武装集団を作り上げた、新選組副長・土方歳三の生涯を描いた司馬遼太郎の“幕末もの”の頂点をなす長編歴史小説。

幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆくことに。
元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。

1966年版以来54年ぶりの映画化となるも、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年5月22日公開が延期に。

2020年公開「燃えよ剣」登場人物とキャスト

【出典:TOHO CO., LTD.】

原作は司馬遼太郎、脚本・監督は原田眞人、主演は岡田准一。

2020年公開の「燃えよ剣」には、岡田准一をはじめ豪華キャストが続々参戦!

・土方歳三:岡田准一
・お雪:柴咲コウ
・近藤勇:鈴木亮平
・沖田総司:山田涼介
・芹沢鴨:伊藤英明
・松平容保:尾上右近
・徳川慶喜:山田裕貴
・井上源三郎:たかお鷹
・孝明帝坂東巳之助
・山南敬助:安井順平
永倉新八:谷田歩
・藤堂平助:金田哲
・斎藤一松下洸平
・山崎烝村本大輔
・原田左之助:吉田健悟
・岡田以蔵村上虹郎
・糸里:阿部純子
・ジュール・ブリュネ:ジョナス・ブロケ
・七里研之助:大場泰正
・佐藤のぶ:坂井真紀
・佐藤彦五郎:山路和弘
・外島機兵衛:酒向芳
・新見錦:松角洋平
・久坂玄瑞:石田佳央
・桂小五郎:淵上泰史
・中島登:渋川清彦
・大沢逸平マギー
・宮部鼎蔵:三浦誠己
・伊東甲子太郎:吉原光夫
・市村鉄之助:森本慎太郎
・清河八郎:髙嶋政宏
・丸十店主:柄本明
・本田覚庵市村正親

映画「燃えよ剣」予告映像

「新選組」土方歳三の知られざる真実を描く、歴史スペクタクル超大作「燃えよ剣」。

90秒の予告映像と30秒の特報映像があります。ご覧になりたい方はこちら

映画「燃えよ剣」公式サイトはこちら

司馬遼太郎とは

【出典:そごう・西武

日本の小説家、ノンフィクション作家、評論家である司馬遼太郎(本名、福田 定一)。

産経新聞社記者に在職していた際に、『梟の城』で直木賞を受賞し、以後は歴史小説を一新する話題作を続々と発表。

司馬氏の筆名の由来は「司馬遷に遼に及ばざる日本の者」から来ています。

代表作には、『竜馬がゆく』『燃えよ剣』『国盗り物語』『坂の上の雲』などがあり、彼の作品の世界観は、面白いものと美しいものの両方が多く存在する。また、『司馬遼太郎全集』もある。

1923年:大阪府大阪市生まれ
1960年:『梟の城』で直木賞受賞
1963年:『竜馬がゆく』で菊池寛賞を受賞
1964年:『燃えよ剣』発売
1965年:『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞
1993年:文化勲章を受章
1996年:享年72でこの世を去る

数々の賞を受賞し、“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼を得るなか、1971年に開始された『街道をゆく』などの連載を半ばにして急逝。

◾️司馬遼太郎記念館:https://www.shibazaidan.or.jp/world/

司馬遼太郎作品

何度も何度も繰り返し読みたくなる、それが司馬遼太郎が描く作品の特徴のひとつだ。

彼の作品には方言が用いられるが、この方言こそ、読む側を刺激し、その時代をよりイメージしやすくしてくれる。

多くの人を魅了する彼の作品には、歴史小説をはじめ、『街道をゆく』『この国のかたち』『風塵抄』などの紀行、エッセイ、対談などの作品も多数ある。

2020年公開の映画「燃えよ剣」 に出演するキャストのファンだから読んでみようかなという考えから司馬作品を手に取っても、また、どの作品から手をつけても読む側をけっして裏切らないドキドキ感が司馬遼太郎の著書にはたっぷりと詰まっています。

まずは1冊。司馬ワールドの世界がどんなものかを覗いてみてください。

最後に

司馬遼太郎、彼が歴史ファンに与えた影響は計り知れない。

動乱の時代であった戦国や幕末を彼ほど描ける人がいるだろうか?歴史ファンを、そして、歴史に興味がなかった人をも魅了した司馬遼太郎、彼はまさに歴史作家として天才ともいえる人物といっても過言ではない。(個人感想)

2020年公開の「燃えよ剣」は、司馬遼太郎の著書の中でも代表格のひとつといえる作品だけに見逃せない映画となりそうだ。

ぶれない人物でもある土方歳三の生き様を描いたこの作品は、令和時代を生きる私たちに何が必要なのかを問い、教えてくれることだろう。

ぶれない行き方、今の日本にとって最も必要なものかもしれない。