結婚式に入学式、還暦など、さまざまなお祝い事で知っておくとタメになるご祝儀袋の正しい作法を紹介。
お祝い事の”目からうろこ”のまめ知識を添えながら、気になる結婚祝いのご祝儀相場や文字の書き方、やってはいけないNGパターンなど恥をかかないための常識もお届けします。
ご祝儀袋の「寿」と「御祝」のふさわしい使い分け
ご祝儀袋に書く「寿」や「御祝」の文字は表書きと呼び、表書きの「寿」と「御祝」は、じつはお祝いの種類によって、よりふさわしい使い分けがあるんです。
その分け方が下記の通りです。
寿 | 御祝 |
・結婚祝い ・還暦祝い | ・成人祝い ・出産祝い |
でも、なぜこのように使い分けるのが正しいのでしょうか?
その理由は、「寿」という文字の意味に隠されています。
「寿」はもともと田畑を杖をついて歩いている老人から出来た文字なんです。長寿という言葉があるように長く続くという意味があります。
そのため、長く続いて欲しいお祝い事には「寿」を使う方がよりふさわしいのです。
2人の結婚が末永く続きますようにという思いを込めて渡す結婚祝いや、これからも長生きして欲しいと願いを込める還暦祝いは「寿」にする方が良いのです。
一方、成人祝いや出産祝いは長く続くことを願ったお祝いではないので、「寿」ではなく「御祝」を使う方がふさわしいのです。
結婚祝いを包むご祝儀袋の作法
結婚祝いのご祝儀袋の正しい作法について、選び方〜持って行き方までを一連の流れで紹介します。
①ご祝儀袋の選び方
最近はたくさんのご祝儀袋がありますが、実はご祝儀袋の中にも結婚祝いにふさわしくないモノがあるんです。
ご祝儀袋にはすべて水引きというものが付いているのですが、水引きにはほどけるモノと引っ張ってもほどけないモノがあります。
引っ張ってほどけるということは、何度も結び直せる=何度も結婚を連想させるため結婚祝いには向いていません。
なので、 結婚祝いを包む時は水引きがほどけないモノを選ぶ のがふさわしいのです。
水引きがほどけない タイプ | 水引きがほどける タイプ |
あわじ結び | 蝶結び |
ちなみに、水引きがほどけるご祝儀袋は、何回あってもうれしいお祝い事に使います。たとえば、出産祝い・七五三・長寿祝い・入学祝い・卒業祝い・誕生祝いなど。
②お札の入れ方
ご祝儀袋の中に入っている「中袋」という封筒にお札を入れるときのふさわしい向きは、 お札の表と「中袋」の表を合わせる、そしてお札の肖像画が上になるよう入れる 。
【出典:マイナビウエディング】
そもそも、「中袋」は表と裏があり、折り曲げる方(糊付けされている方)が裏になります。そして、お札にも表と裏があって顔が描かれている方が表になります。
お札の入れ方はとても大切なところで、お祝い事なので気持が上向きになるため、お札の顔をあげておく(上向き)のが重要なんです。
ちなみに、お葬式の時は悲しいときに顔が下を向くため、お札の顔も下向きにして入れます。
【ご祝儀の相場】
結婚祝いに包む金額の相場は、親族なら3万円から10万円、同じ職場の人や友人などは3万円から5万円となっています。
新郎新婦との関係 | ご祝儀の相場 |
兄弟姉妹 おじ・おば いとこ | 約5万円 約5〜10万円 約3〜5万円 |
勤務先の上司 勤務先の同僚・部下 友人・知人 | 約3〜5万円 約3万円 約3万円 |
【ご祝儀には新札を入れる】
ご祝儀袋に入れるお札は、「新札」がマナー。
新しい門出をお祝いするという意味から、ご祝儀に「新札」ではないただの「ピン札」を入れるのはNGです。
ご祝儀に入れるお金は「新札」を用意するのが基本的なマナーなのですが、意外と「新札」と「ピン札」の違いを勘違いしている方も少なくありません。
この二つの違いは、「新札」は、銀行で発行した未使用の新しいお札(新券)、一方、「ピン札」は折り目も無くキレイな状態だが、使用されている可能性があるお札のことを指します。
ちなみに、3万円とか入れた際に「新札」だと続き番号になっているので、「新札」を用意してくれたんだなーということが伝わります。
新札を手に入れる方法を以下にまとめました。
①銀行で両替を行う。
両替時に記入する用紙の備考欄に「新札」と記入すると、新札を発行してくれます。
②銀行にある両替専用ATM
銀行によっては新札に両替できるATMもあります。
③郵便局で両替を行う。
郵便局では、窓口で「新札に両替してください」と伝えれば、新札を発行してくれます。
④会場によってはフロントで新札の両替を行ってくれる場合も。
こちらは、事前に確認が必要だったり、確実ではないためあまりオススメしません。
直前になって慌てないためにも、前もって新札を用意しておきましょう。
割り切れる数字の偶数は別れを連想させるので奇数にするのはご存知ですよね。
しかし、結婚式でのご祝儀の2万円は本当にダメなのでしょうか?
清紫会 新•作法学院の近藤さんによると、学生など経済的に余裕のない人は良いのではないかとのこと。
ただ、2万円にするのであれば1万円札と5千円札2枚で奇数にしましょう。
③金額の書き方
封筒に書く正しい金額の書き方は、まず中袋の表に金額を書くのがふさわしい作法となります。
そして、金額は旧字体で書くのが正しい書き方です。
書き方は、3万円の場合だと⇨ 金参萬円と書き、金額の前には必ず金の文字を入れます。
なぜ旧字体で書くのか?
それは、一生に一度しかない結婚式はとっても大切な場であるため、勝手に書き換えられるような、いわば改ざんされることを防ぐという意味で旧字体で書くのがふさわしいんです。
旧字体の書き方
1万円 ⇨ 金 壱萬円
2万円 ⇨ 金 弐萬円
3万円 ⇨ 金 参萬円
5万円 ⇨ 金 伍萬円
7万円 ⇨ 金 七萬円
8万円 ⇨ 金 八萬円
10万円 ⇨ 金 拾萬円
たとえば、金 参萬円也といったように円の後に「也」を添える方も少ないないのではないでしょうか。
この「也」は、あっても無くてもどちらでも良いとされています。
金額のあとに「也」をつけるのは、その昔、円の下に銭(せん)、厘(りん)というお金の単位があった時代、円の後に金額を追加されないようにしたもの。古くからのマナーを取り入れるか入れないかはマナー講師によっても違いがあるようです。
【参考元:冠婚葬祭しきたりとマナー事典(主婦の友社)ほか】
④封筒(中袋)の入れ方
「中袋」にお金を入れ金額を書いたあとは、封筒をご祝儀袋に入れるのですが、このとき気をつけなければならないのが後ろ側の折り方。
ご祝儀袋の後ろ側の折り目は、下側が上にくるように折って下さい。
【出典:マイナビウエディング】
このようにする理由は、先ほどのお札と同じで、お祝いごとなため、折り目が上向き=気持が上向きというわけです。
ちなみに、お葬式の時は悲しみで下向き⇨折り目も下向きというように、ご祝儀袋の後ろ側の折り目は、上側が上にくるように折ります。
お祝い事では、くれぐれも折り方を間違えないように気をつけましょう。
⑤自分の名前の書き方
1)使用する筆記具は 格式の高い毛筆がマナー ですが、毛筆は使い慣れないという人は、筆ペンでも問題ありません。
また、ボールペンは事務的に見えてしまうのでNGです。
文字色は濃い黒。間違っても弔事用の薄墨を使わないよう注意しましょう。
薄墨で書くのは「涙で墨が薄くなってしまった」「急いで駆けつけたので墨をする時間がなかった」という意味があるため、お祝い事には不適切です。
2)名前の書き方は、寿や御祝といった文字より小さめに書くのがマナー。
これは、お祝いの気持がの方が重要であり、自分のアピールの場ではないため、表書きより小さく書き、謙虚な気持を表す方がよいとされています。
⑥ご祝儀袋の持って行き方
最近はご祝儀袋を裸でカバンに入れる人がいたり、買った時の袋に収めて持って行く人が増えているようです。
しかし、これはやってはいけないこと。
ご祝儀袋は袱紗(ふくさ)に入れて持って行くのが正式なマナーです。
<袱紗(ふくさ)の包み方>
①ふろしき型ふくさの包み方
【出典:マイナビウエディング】
ポイントは、包み終わった時に絵のように右側が上になるように包んでください。逆に左側が上になるのは、お葬式の時の包み方になるので気をつけましょう。
②簡易型の「金封ふくさ」の包み方
2つポケット型のふくさの場合、結婚式に行く際は左側にご祝儀袋を入れ、包んだ時に右側が上になるようにするのが正しいマナーです。
最近では、札入れのような簡易型の「金封ふくさ」でも、1つポケット型が人気のようです。
ちなみに、袱紗(ふくさ)は結婚式とお葬式のどちらにも使えるタイプを1つもっておけば大丈夫です。
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結婚式での正しい受付のマナー
結婚式の受付では、以下の4つのポイントを抑えるだけで誰もがマナーのある人になれます。
①お祝いの言葉をいう
結婚式の受付では、まず受付の方に「ご結婚おめでとうございます」や「本日はおめでとうございます」・「お招きいただきありがとうございます」など、お祝いの言葉を述べましょう。
②新郎(新婦)との関係と名前をいう
お祝いの言葉を述べた後は、「新郎の友人の◯◯です」というように新郎新婦との関わりを言ってください。
③芳名帳に記帳する
つぎに、ご祝儀袋をテーブルに置き芳名帳(ほうめいちょう)に記帳します。
記帳を先に行うことで受付の人は正確な名前を知ることができ、席札を渡す準備ができます。
④一言添えてご祝儀袋を渡す
せっかく袱紗(ふくさ)に包んだからといって、受付でそのまま渡すのはNG。
ご祝儀の正しい渡し方は、袱紗(ふくさ)の右側を開いてご祝儀袋を取り出し、袱紗(ふくさ)を座布団のようにしてご祝儀袋を置きます。
そして、ご祝儀袋の文字を受付の方が読めるよう、右回しで袱紗(ふくさ)ごと回し向きを整えてから両手で渡します。
この時に忘れてはいけないのが、ご祝儀袋を渡す際の言葉添え。
「心ばかりのお祝いでございます どうぞお納めください」というようにあいさつしましょう。
結婚式などの慶事では袱紗は右側に開き、お悔やみ事の弔事では袱紗は左側に開きます。
以上が、結婚式での正しい受付マナーです。
【参考元:清紫会 新・作法学院 】
◾️案外おかしがちなスーツのマナー違反!
屋内でスーツのポケット部分にある「フラップ」を出したままでいるのはNG!
屋外にいる時に雨やホコリよけの役割を果たす「フラップ」ですが、室内では、ほこりが入るという心配がないので室内では「フラップ」はポケットにしまうのがマナーとされています。
ちなみに、このマナー。一般的な場においても身だしなみのマナーとなるため、就活生もぜひ覚えておいてください。
ポイント
スーツの形が崩れるので、フラップの付いたポケットに物を入れるのもマナー違反になります。ちなみに、女性服にもフラップはありますが多くの場合(*一部例外あり)、飾りとして付いているためポケットではなくデザインとして捉えます。
◾️披露宴会場でこんな座り方はマナー違反!
席の座り方ですが、イスの右から座るのはNG。
イスは下手の左から座るのが正しいマナーとなります。
まとめ
ちょっとした心遣いと配慮が出来る人ってステキですよね。
結婚式でも”ご祝儀袋の正しい作法“を身につけておけば、周りからもマナーのある人=すてきな人と思われることでしょう。
お祝い事にお呼ばれしたら、ぜひ実践してみてください。