日本では、1986年に初の「ライム病」患者が報告!

「ライム病」は、子どもからお年寄りまで誰もがかかってしまう可能性がある感染症です。

もしあなたが…、自然に触れる機会が多い、野山に行く予定がある場合は要注意かもしれません!

今回は我が身を守るために知っておきたい「ライム病」を探ってみました。

ライム病とは

ライム病(Lyme disease またはLyme borreliosis)は、野ネズミや小鳥などを保菌動物とし、野生のマダニ科マダニ属(Ixodes)のダニによって媒介される人獣共通の細菌(スピロヘータ)による感染症です。

【参考元:NIID 国立感染症研究所】

マダニによる感染症

マダニは、世界中に800以上もの種類がおり、そのうち日本には47種類が生息しています。

【出典:NIID 国立感染症研究所】

感染経路

病原体を持っている野ネズミ・鳥を吸血することで病原体を獲得したマダニが、ヒトを刺すことにより感染します。

マダニは、人以外にも野ネズミ・野ウサギ・シカ・イノシシなどの野生動物やネコ、散歩中のイヌなども吸血し、生涯で少なくとも3回(幼ダニ、若ダニ、成ダニの各ステージで1回以上)は吸血するようです。

【参考元:厚生労働省 関西空港検疫所 / NIID 国立感染症研究所】

マダニの生息場所

マダニは以下のような場所に生息しています。

◦シカやイノシシ、野うさぎなどの野生動物が出没する環境に多く生息

◦民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息

潜伏期間

ウイルスの潜伏期間はマダニに咬まれてから6日~2週間とされており、数日〜数週間で発病する。

【参考元:厚生労働省 関西空港検疫所 / NIID 国立感染症研究所】

症状と特徴

現在では、マダニ刺咬後に見られる関節炎、遊走性皮膚紅斑、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜炎、心筋炎などが、ライム病の一症状であることが明らかになっている。【参考元:NIID 国立感染症研究所】

ライム病には、早期(限局期)・早期(播種期)・晩期の3つの病期があり、播種期と晩期の間には通常,無症状の期間がある。

早期(限局期)

この疾患の最初の徴候で少なくとも75%の患者でライム病の特徴でもある遊走性紅斑がみられる。

ダニ刺咬後3~32日の間にダニ刺咬部の赤い斑または丘疹が出現。ダニの若虫は非常に小さく大半の患者は刺咬に気づかない。

病変部が拡大し中心と外周の間がしばしば退色して牛の目状となり、最大だと直径50cmまで拡大する。中心部に黒ずんだ紅斑ができる場合があるが、熱感を帯びて硬結することもある。無治療でも典型的には遊走性紅斑は3~4週間以内に退色する。

遊走性紅斑が消失すると一過性の病変が現れることもあるが、粘膜病変は生じない。治療後に一見すると再発と思える遊走性紅斑が出現することもあるが、その新しい病変部での遺伝子型は当初の感染菌のものとは異なるため、それは再発ではなく再感染である。

早期(播種期)

早期(播種期)の症状は、初期病変の出現から数日または数週間後に細菌が全身に種をまいたようにバラバラと広がるような段階で始まる。その発症直後には、無治療患者の半数近くで二次性皮膚病変が複数出現する。これら二次性病変の生検材料は培養陽性となり感染の広がりを意味する。

症状として、倦怠感,疲労,頭痛,悪寒,発熱,筋肉痛,関節痛, 項部硬直など主に筋骨格系のインフルエンザ様症候群も現れ、数週間にわたり続く場合がある。明らかな関節炎はこの段階ではまれで、背部痛,悪心および嘔吐,咽頭痛,リンパ節腫脹,ならびに脾腫はあまりみられない。

疾患はしばしば特徴的にみられるとは限らないため、遊走性紅斑がないと診断を誤ることが多く、診断するには強く疑うことが必要である。

症状は繰り返し起こったりやんだり変化していく特徴があるが,倦怠感と疲労は何週間も長引くことがある。一部の患者は線維筋痛症の症状を示す。晩期には,ときに関節炎の再発発作に先立ち,消えていた皮膚病変がわずかに再発することがある。

 神経学的異常が遊走性紅斑の数週間から数カ月以内(関節炎の出現前)に約15%の患者に現れるが、一般的には数カ月続いた後に通常は完治する。最も頻度が高いものはリンパ球性髄膜炎または髄膜脳炎,脳神経炎,知覚または運動神経根障害で,これらが単独または複数発生する。

また、約8%の患者で心筋異常が遊走性紅斑の数週間以内に生じる。具体的には、重症度が変動する房室ブロックや、まれに胸痛,駆出率低下,および心拡大を伴う心筋心膜炎などが挙げられる。

晩期

無治療の「ライム病」では,最初の感染後数カ月から数年で晩期に移行する。

患者の約60%に,発症(遊走性紅斑によって確定)から数カ月〜最長2年以内に関節炎が発生する。

その他の晩期所見(発病後何年も経過してから生じるもの)は,抗菌薬感受性の皮膚病変(慢性萎縮性肢端皮膚炎)および慢性中枢神経系異常(多発神経障害または気分,記憶,および睡眠障害を伴う軽微な脳症のいずれか)である。

【参考元:MSDマニュアル】

治療法

抗菌薬による治療が有効。(症状に応じて抗菌薬の経口剤または注射剤で治療する。)

【参考元:厚生労働省 関西空港検疫所 / MSDマニュアル】

マダニに咬まれたら!

ダニ類の多くは、長時間に及び(10日以上のこともある)吸血します。吸血中のマダニを無理に取り除こうとすると、病原体が注入されたり、マダニの刺口が皮膚の中に残り化膿することがあり、感染を増長する場合があります。

吸血して膨張したダニは注意深く除去する必要があるため、万一マダニに咬まれたら、自分でマダニを引き剥がしたり、指でつぶしたりせず、皮膚科などの医療機関で適切な処置(マダニの除去や消毒など)をしてもらいましょう。

【参考元:厚生労働省 関西空港検疫所/MSDマニュアル/NIID 国立感染症研究所】

マダニ対策

「ライム病」の対策は、野山などでマダニに刺されないことが重要!

特に春から初夏、および秋のマダニの活動期に野山へ出かけるときには、以下を心がけましょう。

マダニ対策

◦むやみに藪などに入らない

◦遊歩道や小道から外れない

◦長袖のシャツを着用する

◦首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着用する

◦ズボンの裾をブーツまたは靴下の中に入れる

◦マダニの衣服への付着が目立つよう白っぽい服装をする

◦虫よけ剤を使う

◦野外活動後は、入浴やシャワーでダニが付いていないかチェックする

◦流行地域を調べる

露出の少ない服を着用しマダニが入ってこないように対策し、草むらに入った後はすぐにシャワーを浴びるようにしましょう。

<感染症法によるライム病届出地>

【出典:NIID 国立感染症研究所】

マダニに対する虫よけ剤

2013年から新たに認可されたマダニに対する虫よけ剤(忌避剤)は、現在、ディートイカリジンの2種類の有効成分が市販されています。

虫よけ剤(忌避剤)を使用することでマダニの付着を完全に防ぐことはできませんが、マダニの付着数は減少します。虫よけ剤を過信せず、さまざまな防護手段と組み合わせた対策をおこないましょう。

※ディートは有効成分含有率に応じて、6ヶ月未満には使用しないなどの注意事項があります。

【出典:NIID 国立感染症研究所】

イカリジン成分の虫よけ剤ラインナップ:Amazon , 楽天市場 , Yahoo!ショッピング

ディート成分の虫よけ剤ラインナップ:Amazon , 楽天市場 , Yahoo!ショッピング

アレルギー反応

マダニに咬まれると牛肉アレルギーを引き起こし呼吸困難に!?

この病気を研究している島根大学医学部付属病院の皮膚科医である千貫祐子医師によると、牛肉アレルギーはマダニに何回か刺されると発症するのだとか。

しかし、なぜマダニに咬まれると牛肉アレルギーになるのでしょうか。

それは、マダニの唾液の中にα-gal(アルファギャル)という物質が存在し、私たちがマダニに噛まれるとこのα-galが皮膚を通して私たちの体に入りアレルギーを成立させてしまうから。

牛肉の中にはα-galが存在するために口から牛肉が来た時にα-galが体の中に入ってしまいアレルギーを発症させてしまうケースがあるそうです。

さらに、牛肉以外にもリスクが!

牛肉アレルギーが発症すると牛肉のみならず、豚肉イノシシ肉羊肉、また哺乳類肉に反応するためクジラ肉にもアレルギーを起こすそうです。α-galは哺乳類の肉全般に含まれているためアレルギー症状が出てしまうことに。

ただし、鳥類の鶏肉にはα-galが含まれていないためアレルギー症状は出ないそうです。

しかし、この牛肉アレルギーはなかなか特定されにくいようで、動物アレルギーとの診断をくだされるなど牛肉アレルギーという病気が判明するまでに長い年月を要することもあるようです。

牛肉アレルギーは、なぜこんなにも病名が特定しづらいのか?

千貫医師によると、マダニに噛まれていることに気付いていない、つまり発症契機に気付かないことが多いために牛肉アレルギーに辿りつかないということが挙げられるそうです。

じつは、マダニは人を噛んで血を吸う際にかゆみや痛みを感じさせない物質を分泌しているため噛まれてもほとんど気付かないのだとか。

気付かれる方は大抵、痛みやかゆみで気付く訳ではなく、「急にほくろができました」「でき物ができました」と言って来院され、でき物として捉えていると千貫医師は言っています。

山や草むらへ出かけたり、ペットと草むらで一緒に遊んでいるなど気づかぬうちにマダニに何度か噛まれるとα-galアレルギーをもってしまう可能性もあるので予防や対策はしっかりおこないましょう。

【参考元:主治医が見つかる診療所】

日本の感染者数

感染症法施行後の報告数は、1999年から2018年までの20年間で231例。

<都道府県別ライム病届出数>


【出典:NIID 国立感染症研究所】

今後の広がりは?

欧米の現状に比べ日本でのライム病患者報告数は少ないものの、野ネズミやマダニの病原体保有率は欧米並みであるため、潜在的にライム病が蔓延する可能性が高いと国立感染症研究所は推測しています。

まとめ

広がりを見せる「ライム病」だけに、感染が確認されていない都道府県だから大丈夫!とは安心できません。

野山へ行く際は、しっかりと予防をおこなってから出かけましょう。

【参考元】
・厚生労働省 関西空港検疫所:https://www.forth.go.jp/keneki/kanku/
・MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
・NIID 国立感染症研究所:https://www.niid.go.jp/niid/ja/
・主治医が見つかる診療所:https://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/