新型コロナウイルスの感染拡大によって『緊急事態宣言』が出されたら…、国民にはどのような制限が課せられてしまうのでしょうか。
私たちの暮らしに直結する『緊急事態宣言』の詳細について紹介していきます。
【参考元】
・情報番組「あさイチ」
・情報番組「ミント」
・情報番組「WBS」
・情報番組「モーニングサテライト」
目次
「緊急事態宣言」の区域と時期
『緊急事態宣言』ですが、ニュースなどでよく聞く「ロックダウン」、いわゆる都市の封鎖とは違うということをまず知っておいてください。
日本の場合、政府が『緊急事態宣言』を出した場合は、「新型コロナウイルス対策特別措置法」という法律に基づき、各都道府県知事にさまざまな権限が与えられることになっています。
ちなみに、この『緊急事態宣言』ですが、あくまで要請・指示がおこなえるものであって命令ではありません。ただ、一部においては罰則が設けられています。
また、全国一律ではなく、一定の区域や期限を絞って出されるものなので、『緊急事態宣言』が出されない地域があるということも知っておいてください。
区域は7都府県となる、東京・千葉・埼玉・神奈川・大阪・兵庫・福岡で、期間は宣言日から5月6日までの1か月に限定されます。(2020年4月7日現在)
1か月の限定で出された『緊急事態宣言』ですが、一人一人の意識が問われることになる一方で、仕事などの関係から自粛に踏み切れない方も大勢いるだけに、この期間で、政府の考える終息へと向うことが出来るのだろうか。
「緊急事態宣言」が出るまでのプロセス
「緊急事態宣言」は、以下の段取りがおこなわれてはじめて宣言されることになります。
1、首相が対象となる区域・期間を決める
⇩
2、専門家などから意見を聞く諮問(しもん)委員会に諮(はか)る
⇩
3、国会(議運)に報告
「緊急事態宣言」下での重要事項とは
『緊急事態宣言』が出されると、知事は物資や土地・建物においても規定を設けることができます。
私たちの暮らしにも影響する可能性がありますよ。
必要な物資の規定とは
医薬品やマスク、食品などの必要な物資においては、知事は売り渡しを要請でき、応じない場合は強制的な収用も可能となります。
さらに必要な物資については保管を命じることもでき、これに従わなければ罰則もあります。
では、具体的にはどのような場合において罰則となるのでしょうか。
それは、物資をかくしたり、廃棄した場合、立入検査を拒んだ場合です。
理由は、必要な物資が届かないとなると社会的な混乱を招くことから、それを防ぐために設けられています。
ちなみに、罰則があるのはこの部分のみです。
土地・建物の規定とは
知事は、臨時の医療施設をつくるために必要な土地や建物を同意なしに使用できるという規定もあります。
医療現場でベッドが足りないということを聞かれたことがあると思いますが、症状が軽い人や無症状の人は自宅やホテルで療養するといった方針が示されていますが、さらにベッドが足りなくなる可能性も想定して、この規定が設けられています。
実際には所有者の同意を得るということが前提ですが、たとえば、所有者がわからない土地のような場合だと同意なしで使われるということになります。
また、医療施設を建てる場合には法律の細かい規定があるものの、緊急事態の場合にはその基準も無視して建てることができる決まりになっています。
都市の封鎖(ロックダウン)は考えられる?
海外のように移動の制限や罰則を伴うような禁止令といった「ロックダウン」は、今の日本の法律ではできないことになっています。
そのため、日本の場合は、法律が変わらない限り、海外のように強制できないというわけです。
そもそも、この「ロックダウン」というのは、明確な定義がなく、罰則や禁止令は国によってもさまざまなんです。
外出はどうなる?
日本の場合は、『緊急事態宣言』が出ると、「都道府県知事は、不要不急の外出自粛の要請ができる」という具合に、あくまで自粛要請で、禁止は強制できないため、守らなくても罰則はありません。
なので、これまでの自粛要請とほとんど変わりません。
だとすれば、この『緊急事態宣言』はどのような意味があるのでしょうか。
これには、心理的な効果があり、一定の強制力があると言われています。
要請という点では今までと変わりませんが、これまでは法律に基づかないものだったのが法律に基づいた要請となれば、意識が一段と高くなり、より強力に要請されると受け止められるとも考えれています。
私たちの意識や行動がより問われることになるといえそうですね。
店や施設はどうなる?
『緊急事態宣言』が出ると、多数の者が利用する施設を、知事が使用制限または停止を要請、さらには指示することができます。
ここで知っておきたいポイントは、スーパーマーケットのうち、食料品や医薬品・衛生用品・燃料などの生活必需品の売り場は営業を続けられます。
ちなみに、『緊急事態宣言』が発令される前、東京都の小池知事は、パチンコ店や麻雀店、カラオケ店などの娯楽施設、デパートの食料品以外の売り場は休業してほしい。と幅広いところに休業を呼びかける発言をしていました。
ところが、実際に発令されてからの動きはというと、結局の所、予定とされていた主な施設は独自判断となっているところが多く経営者側には混乱の声も。
自粛は最低限とし、経済を止めないことを前提にしている政府と、感染縮小+経済の早期回復のためにも、今このときに自粛を強く望む小池知事との間では、かなりの温度差があることがうかがえます。
一方で、『緊急事態宣言』発令後は、要請の有無に関係なく、独自の判断で時短や休業などを取り決めている企業が増えてきています。
利用される店舗がある場合は、最新情報を公式サイトで事前に調べてからお出かけされることをおすすめします。
休業要請対象施設
休業要請の対象施設については、各区域の公式サイトで最新のものをご確認ください。
東京:東京都公式ホームページ
千葉:千葉県公式ホームページ
埼玉:埼玉県公式ホームページ
神奈川:神奈川県公式ホームページ
大阪:大阪府公式ホームページ
兵庫:兵庫県公式ホームページ
福岡:福岡県公式ホームページ
ちなみに、東京都では、休業要請に応じた業者に対し最大100万円の「感染拡大防止協力金」を支給するとしています。(2店舗以上経営する事業者には100万円、1
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法に定める要請・指示などに対する都民・市民の方や事業者の方の疑問・不安に対応するために新たに相談センターが各県もしくは市に設けられています。気になることがある方は電話相談してみてください。
各企業の対応
『緊急事態宣言』で、主な企業はどのような対応をするのでしょうか。2020年4月6日時点での各社の対応は以下のとおりです。
◦イオン:通常営業*喫煙所などの密閉空間は閉鎖
◦ライフ:時短営業
◦セブンイレブン:店舗ごとの対応
◦ローソン:店舗ごとの対応
上記コンビニにおいては、アルバイトの体制などが店舗によって異なるため、各店舗ごとに対応する考えです。
◦ヤマト運輸:縮小の予定なし
◦佐川急便:縮小の予定なし
ただし、自治体の要請がない限り通常通り業務をおこなう考えです。
◦三菱UFJ:通常通り
◦三井住友:通常通り
ただし、自治体の要請がない限り通常通り業務をおこなう考えです。
◦JR東日本:通常通り
◦東京メトロ:通常通り
ただし、自治体の要請がない限り通常通り業務をおこなう考えです。
事業者の方は要注意!
『緊急事態宣言』が出され、要請さらには指示が入った場合にはどうなるのでしょうか。
また、この要請と指示ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
じつは、要請に応じない場合には、指示がおこなわれるのですが(この際にも罰則はなし)、指示を受けると事業者の名前をホームページなどで公表されることになります。
そのため、事業者側からすると要請が入れば、断れない=事実上の強制力があるといわれています。
運送はどうなる?
『緊急事態宣言』が出ても、運送業者は指定公共機関になっているため、必要な物資は届く仕組みになっています。
そのため、過度な買いだめは必要ないといわれています。
交通機関はどうなる?
法律によると、公共交通機関を止めるという規定はありません。
鉄道会社などは指定公共機関にあたり、社会の機能を維持するためにむしろ事業を継続しなければいけないという立場にあります。
つまり、新型コロナウイルスの感染が拡大しても、止めるのではなく動かし続けるということになるのです。
感染が拡大しても、医療現場や介護現場をはじめ、働く人はたくさんいます。もし、止まってしまうと仕事が続けられないといった事態につながるため、公共交通機関は止めることができないのです。
道路はどうなる?
道路については、政府や知事にも道路封鎖の権限はありません。
たとえば、中国の武漢のように道路を封鎖したり、鉄道を封鎖するようなロックダウン(都市の封鎖)は、日本の法律上では出来ないということになっています。
学校はどうなる?
制度としては以下のようになります。
🔵都道府県の高校
▶︎知事の判断で休校できる
🔵私立学校や市区町村立の小中学校
▶︎知事が休校を要請・指示できる
感染の状況は日々変わっているので、必要に応じて、教育委員会の情報をチェックすることもおすすめします。
イベントはどうなる?
『緊急事態宣言』が出る前から、イベントにおいては自粛ムードが高まっています。
このイベントについては、『緊急事態宣言』が出されると、知事は中止を要請・指示できることになっています。
企業活動はどうなる?
働く人にとって気になる企業活動ですが、これについては、経済活動を止めるという規定がないため企業活動については規定なしとなります。
ただ、外出の自粛の要請が出ると、テレワークなど在宅勤務をおこなう企業が増えるのではないかと考えられています。
最後に
『緊急事態宣言』では、「外出自粛」や「学校・大規模施設の使用制限」「イベントの中止」などにおいては、強制力はあるものの罰則はありません。
その分、個人や企業の意識や行動が試されることになります。
そして、自分を、大切な家族や友人を守るための意識が、いま、一人一人に問われようとしているのかもしれません。