私たちの体に悪影響を及ぼすということで、テレビや新聞などのメディアなどで取り上げられる機会が増えているトランス脂肪酸。
ショートニングやマーガリンを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに多く含まれるトランス脂肪酸は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を下げる働きがあり、摂りすぎると心臓病のリスクが高まるとされています。
そのため、トランス脂肪酸の制限や禁止が世界中に広がりをみせています。
世界保健機構(WHO)では、マーガリンなどに含まれる「人口のトランス脂肪酸」を2023年までに世界の食品から排除し世界的な根絶を目指す、段階的な手順を発表しました。(WHOの記事参照)
そんな中、ついに、カナダでトランス脂肪酸の食品添加物が禁止に!
日本ではまだ特に規制はされていませんが、食生活が不規則な人は、過剰摂取にならないよう注意する必要がありそうです。
今回は、健康に影響を及ぼすとされるトランス脂肪酸について紹介します。
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トランス脂肪酸ってなに?
トランス脂肪酸とは、水素を付加して植物油を加工する際に人工的に生成される副産物(成分)で、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングはそうして製造された油のこと。
トランス脂肪酸を摂取しすぎると心疾患のリスクを高めるといわれ、2003年から世界保健機関(WHO)は世界各国に向け警告を鳴らしています。
どんな食品に含まれているの?
トランス脂肪酸は水素添加によって製造されるマーガリンやショートニング、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツ、クッキー、クラッカー、パイ、フライドポテト、ナゲット、ポップコーン、ビスケットなどなどに多く含まれています。
危険なトランス脂肪酸 含有量ワースト5食品
▼ワースト1位:ショートニング 4.5g
▼ワースト2位:マーガリン 3.2g
▼ワースト3位:バター1.951g
▼ワースト4位:マヨネーズ 1.237g
▼ワースト5位:ファットスプレッド 1.2g
食用油脂の割合が80%未満のものをファットスプレッドと呼び、80%を超えるものをマーガリンと呼びます。
種類別名称をチェックしたらマーガリンではなく「ファットスプレッド」だった、なんてことはよくある話です。
※単位:g/100g
※ランキングは、農林水産省有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成25~26年度)を参照
トランス脂肪酸フリーのおすすめ食品
健康やダイエットのためには脂肪を体に溜め込まない、口にするのを減らしていきたいものです。
まずは、トランス脂肪酸カットまたはゼロの食品を選ぶことからはじめてみてはいかがでしょう。
おすすめ!トランス脂肪酸フリーのマーガリン
発酵豆乳入りマーガリンは、トランス脂肪酸が少なく、必須アミノ酸が入ったナチュラルでヘルシーなマーガリン。
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おすすめ!トランス脂肪酸フリーのショートニング
パンやお菓子作りに欠かせないショートニング。
有機食品のパイオニア「ダーボン」は、原料の農園、加工施設すべて有機JAS認証を受けている会社で、水素添加をおこなわない”無水素添加”製法にこだわっています。
「ターボン」オーガニック・トランスファットフリー・ショートニングで好きなお菓子作りも安心!
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おすすめ!トランス脂肪酸フリーのオイル
日頃使用するオイル(油)もトランス脂肪酸フリーのものに切り替えることで、体内に吸収される脂肪を予防してくれます。
代表格ともいえるココナッツオイルもよいですが、さまざまな料理に使うなら
- えごま油
- 亜麻仁油
- チアシードオイル
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(WHO)がトランス脂肪酸にメスを入れるワケとは!
世界保健機構(WHO)がトランス脂肪酸を世界中から排除するために本格的に動き出しました。
理由は、世界の死亡原因のトップが心疾患および脳卒中だから。
2016年の全世界の5690万人の死者のうち、心疾患および脳卒中による死亡は1520万人を占めており、過去15年間において世界的に死亡原因の第一線であり続けているのです。(WHOの記事参照)
体に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸はまさに心疾患のリスクを高めることから、WHOは世界の食品からトランス脂肪酸を排除する方向へと進めているのです。
世界各国に広がるトランス脂肪酸の制限の動き
トランス脂肪酸は、心血管疾患のリスクを高めるとして、多くの国で規制する動きが広がっています。
各国の動き
- 2003年6月:デンマークでは食品中のトランス脂肪酸の量を全脂質の2%までとする罰則規定を設けた行政命令を制定
- 2005年:(北米) カナダがトランス脂肪酸の表示を義務化
- 2006年:(北米) アメリカがトランス脂肪酸の表示を義務化
- 2006年:(南米) ブラジル、アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイが表示を義務化
- 2007年:(アジア) 韓国が表示を義務化
- 2008年:(アジア) 台湾が表示を義務化
- 2008年:スイスが油脂100g当たり2g以上のトランス脂肪酸を含む商品の国内流通を禁止
- 2009年:オーストリアもスイスと同様の規制を決定
- 2010年:(アジア) 香港が表示を義務化
- 2015年:(北米) アメリカは、トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂の食品添加を禁止
ついに、カナダでトランス脂肪酸の食品添加物が禁止に!
カナダでは2018年9月17日、マーガリン等に使われているトランス脂肪酸の主要成分である部分水素添加油脂の使用を正式に禁止。今後カナダ国内では、部分水素添加油脂を使用した食品の製造は違法となり、輸入品や飲食店での食事を含めカナダにおける全ての商用飲食品が禁止対象となります。
(カナダの発表)(CBCニュースの記事)
日本のトランス脂肪酸の制限は?
日本ではまだトランス脂肪酸の表示すら義務づけられていません。
さらに、現時点で食品中のトランス脂肪酸に加えて不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどほかの脂質に対する表示義務や基準値も存在していません。
理由は、多くの日本国民のトランス脂肪酸摂取量は、WHOが推奨する総エネルギー比の1%未満を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さい」という食品安全委員会の見解に基づいているため。
しかし2016年の厚生労働省の調査では、日本人の成人男性の約30%、成人女性の約40%が、目標量の範囲を超えて脂質を摂取していることが明らかになっており、近年、脂質をとりすぎる人の割合が日本でも増加傾向にあることが報告されています。
まとめ
私たちの健康に影響を及ぼすとされるトランス脂肪酸は、心臓発作や脳卒中のリスクを高めることから、使用を制限する動きが世界中で広がっています。
厚生労働省の調べでは、日本人の脂質摂取量は増加傾向にあることがわかっているだけに、日本でもトランス脂肪酸の表示や制限にメスが入る日も、そう遠くないのかもしれませんね。